領収書・請求書の保管ルールとは?正しい管理方法とミスを防ぐポイントを徹底解説!

ビジネスにおいて、領収書や請求書の適切な保管は非常に重要です。適切に管理されていないと、税務調査の際に証憑を提出できず、追徴課税やペナルティを受ける可能性があります。さらに、経費精算のミスや経理業務の混乱を防ぐためにも、正しいルールを理解し、適切な管理方法を実践することが求められます。

また、2022年の電子帳簿保存法の改正や、2024年1月から義務化された電子取引データの保存ルールなど、法改正によって企業の管理方法も大きく変化しています。本コラムでは、最新の法規制を踏まえながら、領収書・請求書の適切な保管ルールと実践すべき管理方法について詳しく解説します。


1. 領収書・請求書の保管期間と法的ルールを理解しよう

領収書や請求書の保管期間は、日本の税法によって以下のように定められています。

① 法人・個人事業主の保管期間

帳簿や取引関係書類の保存期間は、紙で保存する場合と同様に法定期限までの保存が求められます。法人の場合は、法人税法や会社法に基づき、個人事業主や副業で一定以上の売上がある方については、所得税法が関係してきます。

さらに、適格請求書発行事業者であれば、法人・個人を問わず消費税法の規定も影響します。これらを総合的に考えると、以下の保存期間を目安にしておくと安心です。

📌 帳簿類の保存期間の目安

  • 法人の場合:原則7年(最長10年)
  • 個人事業主の場合:原則5年、ただし青色申告等の一定の条件を満たす場合は最長7年

保存期間は「最長の期間」に合わせて管理しておくことで、税務調査などにも安心して対応できます。


② 保管期間を守らないリスクとは?

もし領収書や請求書を適切に保管していないと、税務調査の際に必要な書類を提示できず、仕入税額控除の否認や追徴課税の対象となる可能性があります。

特に、法人税・所得税・消費税などの税務申告に関わる重要な書類のため、適切に管理することが不可欠です。


2. 紙と電子、どちらで保管すべき?電子帳簿保存法を理解しよう

① 電子帳簿保存法とは?

2022年の改正により、電子データで受け取った請求書・領収書は紙での保管が不可となり、電子データで保存することが義務化されました。2024年1月以降は、電子取引の証憑(PDFやメール添付の請求書など)も、適切な電子保存が必須となりました。

② 紙 vs. 電子、どちらで保管するべき?

保管方法メリットデメリット
紙のまま・従来の管理方法に慣れている
・特別なシステムが不要
・劣化や紛失のリスクがある
・保管スペースが必要
電子データ・検索や管理が容易
・紛失リスクが少ない
・クラウド管理が可能
・改ざん防止措置や検索機能が必須
・システム導入が必要

このように、紙は手軽に管理できるが、保管コストや紛失リスクが高いのに対し、電子データは効率的だが、法的要件を満たす準備が必要になります。

2024年1月からは電子取引の証憑を電子データで保存することが義務化されたため、今後は電子管理を前提とした体制を整えるのがベストです。

③ 電子帳簿保存法の要件

電子保存を行う場合は、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 可視性の確保:ディスプレイやプリンタで明確に確認・出力できること
  2. 検索機能の確保:日付、金額、取引先名で検索できること
  3. 改ざん防止措置:タイムスタンプの付与、訂正履歴の管理、訂正削除不可のシステムを使用すること

クラウド会計ソフトや文書管理システムを導入することで、法的要件を満たしながら安全に管理できます。


3. 領収書・請求書を適切に保管する方法とミスを防ぐポイント

① 適切なフォルダ分類を行う

領収書や請求書を管理しやすくするため、フォルダ分類を明確にすることが重要です。

  • 年度別フォルダ(例:2023年、2024年)
  • 取引先別フォルダ(例:A社、B社)
  • 費目別フォルダ(例:交通費、接待交際費)

これにより、必要な書類を素早く見つけることができます。

② ファイル名を工夫する(検索性を高める)

電子データの場合、ファイル名に「日付・取引先・金額」を含めることで検索が容易になります。

例:
20240301_A社_請求書_50000.pdf
20240215_領収書_タクシー_3200.jpg

③ データのバックアップを取る

クラウドストレージや外付けHDDを活用し、定期的にバックアップを取ることで、データ消失のリスクを回避しましょう。

④ 改ざん防止対策を実施する

電子データを保存する際は、以下の方法で改ざん防止を行います。

  • タイムスタンプの付与
  • 訂正履歴が残るシステムを使用
  • 書類の削除・修正ができない設定を導入

4. 電子帳簿保存法への対応を進めよう

2024年1月からの法改正により、電子取引で受け取った請求書や領収書は電子保存が義務化されました。

これに対応するために、企業は以下の準備を進める必要があります。

  1. 経理システムやクラウドサービスの導入(freee、マネーフォワード、弥生会計など)
  2. 社内ルールの整備(紙・電子データの保存基準を明確にする)
  3. 従業員への周知と教育(電子帳簿保存法の基本を理解させる)

電子保存のルールを理解し、早めに対応を進めることで、スムーズな業務運営が可能になります。

5.よくある質問:領収書に関する疑問

Q1. クレジットカード明細があれば、領収書は不要ですか?
A1. 原則として領収書も必要です。
クレジットカード明細は「支払いの事実」を示す資料として有効ですが、それだけでは不十分なケースがあります。特に「仕入税額控除」を受けるためには、インボイス制度に対応した適格請求書(領収書や請求書など)を保存しておく必要があります。明細だけでは税額控除の要件を満たさない可能性があるため、領収書も必ず保管しておきましょう。

Q2. 領収書の宛名はどのようにすればよいですか?
A2. 原則として法人名を記載してもらいましょう。
法人の場合は法人名、個人事業主であれば氏名または屋号を記載してもらうのが基本です。少額な支出であれば「上様」や宛名なしの領収書でも実務上認められる場合がありますが、税務署からの指摘を避けるためにも、正式な宛名での領収書を求めることをおすすめします。



6. まとめ

領収書や請求書の保管は、単なる書類管理ではなく、税務リスクを軽減し、経理業務の効率化を実現するために欠かせない業務です。特に、電子帳簿保存法の改正によって、企業は電子データでの適切な管理が必須となっています。

🔹 ポイント

保管期間は7年間が基本(最大10年)
電子帳簿保存法に対応し、電子データ管理を推進
フォルダ分類やファイル名を工夫し、検索性を高める
バックアップを定期的に行い、データ消失を防ぐ
改ざん防止対策を実施し、法的要件を満たす

適切な管理体制を整え、安心して事業運営を進めましょう!

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